【文:Kerstin Hsu、Hsuan Yin Zhang、Mokki Hsiao】 【編集:下山敬之】
【写真:Fika Fika Cafe、Simple Kaffa、PJ Shen】
「サードウェーブコーヒー」は、第三のコーヒー文化とも呼ばれ、コーヒーの産地、品質や独特の風味を重視する文化運動です。サードウェーブコーヒーは、利便性や速さを追求してきた従来のコーヒー文化とは異なり、コーヒーを特別な飲料とみなし、さらにはワインやウイスキーのように高級品化するといった意味合いも含まれています。特にこの10年間は、全世界でサードウェーブの文化運動が広まり、世界中に特色あるハイクオリティなカフェが誕生しました。台北でも同じ現象が見られます。
台北は、安価なチェーン店や個性的でハイクオリティなカフェなど、様々なカフェであふれています。サードウェーブをテーマとしたカフェも多くあり、そこではコーヒー豆の産地や豆の風味を引き立てるきめ細やかな焙煎方法、コーヒーの抽出手順など様々なこだわりが見られます。
今回紹介する3つのカフェは、それぞれの得意とする点を活かして、台湾のサードウェーブ文化の特色と発展を広めています。いずれのカフェのオーナーも、世界的なコーヒーのコンテストでの受賞歴を持つ専門家たちです。彼らは自らの職人としての精神を、豊かな味わいを持つ香り高い一杯のコーヒーで表現しており、その名前とブランドは世界中のコーヒー愛好家たちに知られています。彼らの活躍は、台湾がグローバルなスペシャルティコーヒーの業界で、重要な地位を獲得する一助となっているのです。
Fika Fika Cafe
Fika Fika Cafeのオーナーである陳志煌(チェン・ズーファン)氏は、 2013年に北欧で開かれたバリスタのコンテスト(Nordic Roaster Competition)に参加し、エスプレッソ部門および総合部門での優勝者となり、北欧出身者以外で初めてのチャンピオンに輝きました。Fika Fika Cafeは同じ年に誕生し、台湾で名高いカフェの1つとなっています。また。2019年と2020年には、トラベルサイト「Big 7 Travel」が発表した「アジアのカフェベスト50」に選ばれています。
Fikaはスウェーデン語で「一緒にコーヒーを飲みながらひと休みをする」という意味です。陳氏は、お店に訪れるお客様に北欧の世界を視覚、嗅覚、味覚で満喫していただきたいと願っています。また、彼は一度だけの「Fika」では物足りなく、ついつい「Fika Fika」を何度も訪れたくなるような体験を提供したいと考えています。伊通公園のそばに位置する店舗には、いつも長い列ができますが、店内はリラックスした雰囲気となっています。テラス席は台北を代表的するコーヒーシーンとなっています。
Fika Fikaの特徴は、ラテ系のイタリアンコーヒーとドリップコーヒーです。イタリアの地名から命名した「卡布里布理(カプリプリ)」というコーヒー豆は、定番商品であり、一番売れています。カプリプリは複数のコーヒー豆がブレンドされており、全ての焙煎度合いやローストカーブが異なるため、それぞれを個別に処理しなければなりません。そうした複雑な工程を経ることで、ミディアムローストのふくよかな味わいが生まれます。ブラックで飲む場合もミルクを加える場合も、絶妙なバランスが保たれています。
Fika Fika Cafe
住所 中山区伊通街33号
営業時間 10:30 - 19:00(月曜日)
08:00 - 19:00(火曜日-木曜日;日曜日)
08:00 - 21:00(金曜日-土曜日)
興波珈琲
興波の創始者である呉則霖(ウー・ザーリン)氏は、台北のコーヒー業界における伝説的な人物です。2011年に東区の地下室で最初の興波珈琲をオープンして以来、本格的なコーヒーを求める人にとっては、必訪の店となっています。呉氏は2009年から7年連続で台湾バリスタコンテストに参加し、合計で3回の優勝を経験。また台湾代表としてアイルランドで開催されたワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)に参加。2016年にワールドチャンピオンとなると、世界的に高い評価と名声を獲得しました。また、興波珈琲が「Big 7 Travel」の発表した「世界のカフェベスト50」で、 2019年と2020年に2年連続で選出されたことからも、その高い実力が評価されています。台湾のコーヒーファンたちの間では非常に名誉なこととして受け入れられています。
興波珈琲の旗艦店は華山文化園区のそばにあります。インダストリアル調の広々とした明るいスペースの真ん中には、バリスタたちが作業をする大理石のカウンターがあり、プロの淹れ方を見ることができます。同店のハンドドリップコーヒーは特別で、コーヒー好きの人たちが追い求める豊かな味わいが楽しめます。また、金華街という通りに支店となる「Simple Kaffa The Coffee One」をオープン。こちらでは、オークションで仕入れた希少な豆(オークション豆)を扱っています。最も高いコーヒーはNT$3,000を超えるなど、コーヒーが高級品化されている点が特徴です。
他にも今年1月には、台北101の88階に出店。こちらは森林、山、雲、空をコンセプトとしたデザインとなっており、美しい空間と景観を楽しむことができます。
もし、興波珈琲でどれにするか迷った時は、「Big 7 Travel」がオススメするカプチーノか黒糖ラテを注文しましょう!
Simple Kaffa興波珈琲華山旗艦店
住所 中正区忠孝東路二段27号
営業時間 10:00 - 17:00
Simple Kaffa The Coffee One
住所 大安区金華街177号
営業時間 11:00 - 18:00
Simple Kaffa Sola天空興波
住所 信義区信義路五段7号88階
営業時間 10:00 - 20:00
VWI by CHADWANG
2017年、まだ30歳になっていなかった王策(ワン・ツァ)氏は、正確かつ精密な手さばきで、ワールド・ブリュワーズ・カップ(WBrC)の優勝を勝ち取り、台湾初のチャンピオンとして、一躍台北コーヒー界で大きな注目を集めました。その後、オープンしたのがVWI by CHADWANGというお店です。
VWIとは水の3つの形態、Vapor(霧)、Water(水)、Ice(氷)を表しています。特にハンドドリップコーヒーの大部分を占める要素は水であり、コーヒー豆と水の変化の過程でコーヒーは生まれます。この細かな過程で異なる風味となりますが、これこそが細部にこだわる王氏が表現したいコーヒーの精神なのです。
王氏の整った外見と、コーヒー好きの高い要求に応えるスキルが相まって、同店には多くのお客さんが来店します。VWIではコーヒー講座を開催していますが、聖地巡礼のように多くのコーヒー好きが集まる点からも人気の高さが伺えます。他にも、人々の日常生活に適したティーバッグのようなフィルターバッグも開発しており、台湾のスペシャルティコーヒー界において魅力的なストーリーを持つカフェとなっています。
VWI by CHADWANG 住所 大安区忠孝東路三段251巷4弄16号
営業時間 11:00 - 19:00
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